三谷建築設計事務所 富山県一級建築士事務所 住宅設計
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■国重要文化財「 吉 島 家 住 宅 」見学レポート 高山市大新町1- 51




建物正面全景。2階の軒がとても低く、窓にはいろいろな格子が付いています。「大戸口」の上には酒屋を示す杉玉が下がっています。手前の中二階に見えるのは「与力窓」。



「大戸口」を入った「入口どうじ」。土間に入る格子戸にかかる暖簾は、モダンな二本線のデザイン。



「土間」、「おうえ」、「だいどこ」と続く吹き抜け空間。大黒柱に架かる梁。部屋間の仕切りは建具だけで、その上に壁がありません。全体がひとつの広い空間のように感じられます。



格子状に組まれた梁と束。高窓からの光を受けて、刻々と表情が変わります。



長さ8mの大黒柱は棟桁まで伸びています。柱と梁と束とで構成された立体的な格子には、洗練された美しさを感じます。木肌は、永い年月を経た 深い色合いです。



大黒柱は30cm角のヒノキの無節材。現在ではとても手に入らない立派な木です。両側から松の梁が捩じ込んでありますが、この二本は、お互いの捩れを矯正し合うように組まれているそうです。また、この梁はよく見ると下側が細い八角形をしているのに気づきました。骨組みをより繊細に見せる為の工夫ではないか?と思いました。



吉島家の意匠(デザイン)あれこれ
細部にまで心配りされた吉島家の意匠は、とても洗練されていて、現在見ても全く古さを感じさせません。その中から、いくつかを紹介します。



「おうえ」と「なかおうえ」を仕切る腰高障子戸です。竪桟付の腰板、細かい竪組子に横組子がバランス良く配された障子の組合わせです。障子紙は上下と中央で、表裏に貼り分けてありました。また障子の組子の間隔(10等分)と腰の竪桟の間隔(9等分)が微妙に違っています。これは、それぞれの桟の太さや、紙と板の素材感を考えてのことではないかと思いました。




「なかおうえ」と「だいどこ」の境の建具です。「なかおうえ」からみると格子戸、「だいどこ」からみると障子戸という珍しい建具です。私は、しばらく同じ建具だとは気づきませんでした。とても魅力的な建具です。もちろん何か理由があると思います。「どうしてなんだろう?」と想像してみるのも楽しいです。



襖の引き手金具。「吉島」にちなみ、「吉」を四つ組み合わせた意匠だそうです。その他、「吉」の字をくずした意匠の釘隠しもありました。





「たかにかい」の板欄間。鳥と蝶が透かし彫りになっています。暗い部屋から見ると、外の光を受けて 小鳥と蝶々が軽やかに飛んでいる、愛らしい意匠です。くつろいだ雰囲気を感じます。



同じく「たかにかい」の床脇の天袋に描かれた若松。金地に鮮やかな緑が映えて、とてもきれいでした。床柱は「藤」だそうです。とても珍しいです。私達は初めて見ました。足元は筍面をとって畳と納まっています。

吉島家には、この他にも素晴しい意匠が数多くあります。先人のセンスと高い技術の数々に感嘆しました。